Anotherを読んだので感想

もうすぐ映画もありますね記念で。

ネタバレ警告:以下の文章には作品の内容について触れている箇所があります。まだ該当作品をご覧になっていないかたはご注意ください。

あー綾辻綾辻。文体というか、テキストからにじみ出てくる雰囲気が僕が高校生の頃に読んだ館シリーズとまったく変わってなくて、こんなに変化しない小説家っていうのもいないんじゃないかと思うくらい綾辻でした。なんつーか、実は囁きシリーズなのかもしれない。

あの人が「もう1人」であることは、僕みたいなスレた(根性の悪い)読者なら結構早い段階で思い当たるんじゃないかな。あからさまなヒントの出し方多かったしね。

でもそこに気づいていただけに、何かしらの論理的な答えが用意されているんじゃないかと勘ぐりながら読み続けたので、逆の意味で驚愕のラストだったりしました。てかそうだよね。俺ホラー読んでるんだったよ。

でまぁホラーなんだから何でもありなんだろうけど、やっぱり気になるところがあるわけですよ。

例えば最初に噂話をしているのは誰か?とかさ。まぁこれは美術部の子なんだろうけど、一番引っかかってるのは主人公の恒一が感じる「ずうぅぅぅーん」という重低音。これと恒一が「サカキバラ」という名前を呼ばれることに過剰に反応するくだり。

ちょっと時間がなくて読み返しとか出来ていないんだけど、もしかして恒一あの人をコロ助なりよ?とか思ったりな。

そしてラスト。これって実はなんも解決してなくて来年の3年3組にはまたこの厄災はふりかかるわけで、恒一はラブラブでハッピーかもしれないけど不条理なお話はまだまだ続くというまさにホラーな終わりなんだね。っていうか続編書く気まんまんな気がする終わり。たぶん次作では恒一はインドのヨーガの神秘を体得してて、死者と対話できる能力を身につけたりしてるに違いないな。嘘だけど。

しかし、僕が高校生の頃から「人間が書けていない」と言われていた綾辻先生ですが、この作品でもやっぱり薄っぺらなステレオタイプの造形をもった登場人物しか出てきません。
でもいいんだよ。「人間を書く」なんてのは凡百の作家どもに任せておいて。あんたは面白い話をそれなりの期間で書いてさえくれたらいいんだよ。